にんにくを食べると体臭は強くなるの?
健康に良いとされ、気兼ねなく食べたいにんにくですが、臭いが気になるから食べられないという方もいます。
実際、にんにくを食べて臭うのは口臭だけではありません。
体臭にも大きく影響を与えます。
胃で消化・分解された臭い成分が血液循環によって体中にまわり、汗や皮膚から排せつ、酸化されることによって、体臭が強くなってしまいます。
口臭は3時間ほど、体臭は摂取したにんにくの量にもよりますがおよそ16時間程度、臭いが完全に消えるのは48時間程度とされています。
自分自身では口臭は気になっても、体臭にはなかなか気付きにくいだけに厄介とも言えます。
極力周りの目を気にしたくない、という方はにんにくによる体臭を可能な限り抑えるため、まずその原因となる臭い成分について知っておく必要があります。
にんにくを食べると体臭が強くなる理由は?
にんにく臭の正体
にんにくにはアリインという、それ自体は無臭の物質が含まれています。
しかし、料理などでにんにくをすり潰したりする際、アリインはアリナーゼという酵素と反応してアリシンという物質に変わります。
にんにくは刻んで細かくしたり、すり潰すほどにアリシンはより多く作られ、その分臭いも強くなります。
さらにこのアリシンが体内に取り込まれて消化器官内で分解されることで、にんにくの臭いが血液を通して体中に広がって、体臭となり表れ、強くなります。
前述したように、臭いは皮膚からにじみ出てしまいます。
しかしそれよりもさらに臭いを強めてしまうのが汗腺です。汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があります。
実は汗自体には臭いはありませんが、脂肪酸が酸化する時に発生する臭いと共ににんにくの臭いが強く出ることになります。
エクリン腺とアポクリン腺
エクリン腺は水分99.9%、残り0.1%は塩とカリウムでなる汗を排せつし、この汗腺は全身に存在します。
エクリン腺から出た汗は水分量・塩分量ともアポクリン腺より多いことから雑菌の繁殖が遅く、臭いがありません。
普段出るさらさらした汗がこれにあたります。
ただし、繁殖が遅いだけで時間経過とともにある程度の匂いは発生します。
しかしながら、アポクリン腺は70~80%の水分に塩分量、ともに少なく粘り気があり、この汗腺は脇、へそ周り、乳腺、陰部などに存在します。
水分量と塩分量がエクリン腺より少ないことから雑菌が増えやすいこと、タンパク質・脂質・アンモニアなどからなる汗が排せつされることから、体表の細菌がより繁殖し発酵することで強い臭いの要因となっています。
このアポクリン腺に対してにんにくが刺激を与えてしまうと、強い臭いの元となってしまうのです。
こちらも時間経過とともに細菌の繁殖や化学分解によって臭いが発生しますが、エクリン腺より強く表れますので、まめにふき取るなどのケアが必要です。
しかしこれらは、逆に言えばにんにくの臭いが完全に体中を巡ってしまう前に対処をしておくと、ある程度は臭いを抑えることができるということです。
ただし、その日のうちに対策しておかないと効果はほとんど期待できないでしょう。
にんにくの臭いを抑えるためにできること
効果的な方法はいくつかあり、1つは、食前に牛乳を飲むことです。
牛乳はアリシンによる臭いを包み込んで抑えてくれます。
2つ目に食事中に緑茶を飲むことです。
緑茶は、ビタミンC、Eをたくさん含んでおりこれらは消臭効果もあります。
また、抗酸化作用、利尿作用もあることから、尿として体外に出して臭いの血中濃度を下げることができます。
3つ目に、臭い成分の分解や消臭に有効なリンゴなどのポリフェノールを含む食べ物を食後に食べる。
4つ目に、代謝を良くするためによく水分を摂りつつ、40度のぬるま湯に10分浸かったり、運動をして汗をかく。といった対策ができます。
にんにくを食べるとわきがのニオイは防げるの?
残念ながらにんにくを食べてもわきがの臭いは防げません。
むしろ悪化する可能性があります。わきがには普段の食生活で臭いを強くしてしまうものがあります。にんにくもその一つです。
にんにくがどうわきがに関係するか
まず、先ほど述べたアポクリン腺から出た汗とエクリン腺から出る汗や皮脂腺から出た物質とが混ざってできた脂肪酸が空気に触れて酸化し、わきが独特の臭いとなります。
そして、アポクリン腺の量が多いほどわきがの臭いが強くでてしまうのですが、そのアポクリン腺を刺激してしまう食べ物が、にんにくやトウガラシ、キムチなどの刺激物なのです。
わきがの臭いと相まって、より強力な臭いを放つことになります。
気兼ねなくにんにくを食べたい方にはまずは、わきがの治療や食生活の見直しをお勧めします。
食生活に気をつけるだけでも効果はあります。わきがに悩んでいる人は体臭のない人より、臭いの強いものを食べた時の影響が大きいからです。
にんにくの他にあげられる臭いの強い食べ物は、ニラ、らっきょうなどのネギ属の植物です。
わきがになってしまう食生活とは?
血がドロドロになり、血液循環が悪くなってしまうと血中に老廃物がたまり、わきがに繋がる要因の一つとなります。
食べ過ぎや塩分・糖分を摂り過ぎると、未消化のまま腐敗したガス、べたつく汗がでることでもそうです。
不規則な生活、食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレスなどから疲労した肝臓やすい臓、腎臓の消化器官のために臭いが強くなることもあります。
ジャンクフードや肉類などの酸性の食事で疲労しますので、対応としてアルカリ性の食物を摂取するのが良いでしょう。
アルカリ性の食品としては、抗菌性もある梅干しや、血中の中性脂肪を抑えてくれるメカブ、しいたけなどです。
臭いの元となる食品
動物性油脂は脂肪腺やアポクリン腺を刺激する食品の1つで、臭いの元となります。
植物性油にはリノール酸が多く含まれており、体内で酸化して臭いの元となります。
ただしごま油だけは少量なら予防効果もあります。
また、スパイスの摂取で匂いが体臭として表れることもあります。
残念なことに、上に述べたにんにく臭を予防するためにあげた牛乳ですが、わきがに関しては有効ではありません。
わきがの臭いを強くする食品には動物性たんぱく質であり、乳製品は腸内で消化しきれず腐敗し、臭いの元となってしまうからです。
わきが対策に有効な食生活は?
もちろん、上記のアルカリ性の食品も有効ですが、ビタミンC、E、βカロテン、ポリフェノール、先述した緑茶にも含まれるカテキンや抗酸化作用のある野菜はわきがにも有効です。
これらは臭いの発生の元となる酸化自体を弱め、酸化臭を抑える働きがあります。肉類を食べるときにはこれらの野菜を食べると効果的です。
他に抗酸化作用のある食品として、オリーブオイルがあげられます。動物性油脂、植物性油の代わりに使用するのが効果的です。
乳製品ですが、消化できずに腐敗した食べ物からなる臭いを抑えるために、ある程度のヨーグルトの摂取は問題ありません。
日本人は本来和食文化でしたが、近年ますます食生活がグローバル化になったことよって、わきがになる人が増えています。
そこで、臭いの強くない食事の良い例となってくれる和食をオススメします。
和食は洋食などに比べれば料理に使用する肉類が少なく、酸化して臭いを放つことが少ないからです。